一見、関係がないと思われる歯痛と頭痛ですが、同時に痛くなることがあります。
一般的に頭痛は風邪などの内科的な体調不良から引き起こされますが、頭部の神経と歯の神経は近い位置にあるため、歯痛と頭痛にはお互いに影響を与えることがあります。
しかし、歯の痛みが頭痛を引き起こすのか、頭痛が歯痛を引き起こすのか、どちらなのでしょうか。また、頭痛以外にも歯痛の原因はあるのでしょうか。
お口の中のトラブルから発展する頭痛
お口の中のトラブルで一番に考えられるのは虫歯です。虫歯が悪化して神経まで達してしまうと、強い痛みを感じます。その痛みが強すぎると神経を伝わって頭痛を引き起こすことがあります。鏡で見ただけではわからない様な見えない部分が虫歯になっていることもあり、自分では気づかないこともあります。また、虫歯以外のお口の中のトラブルとしては親知らずによるトラブルがあります。親知らずは生え始めるのが他の歯が生えそろってからであることがほとんど。最近の10代後半~20代の若者は顎が小さいことが多く、親知らずが生えるスペースが十分にないため、不規則な生え方をし、出てこられないこともあります。これにより歯がまっすぐに生えずに歯のかみ合わせが変わったり、歯が歯肉の中に埋もれているため、歯の汚れが溜まったりすることにより歯茎が腫れたり痛んだりします。ひどい時は口が開けられないほどになります。親知らずの歯茎の腫れは膿が溜まると痛みがさらに強くなり、歯の神経の近くにある頭部の神経も刺激することとなり、頭痛が引き起こされます。
頭痛から引き起こされる歯の痛み
頭痛の中でも群発頭痛という強い痛みのある頭痛には歯の痛みが伴うことがあります。群発頭痛の原因はあまりよくわかっていませんが、脳の視床下部や三叉神経に異常が発生し、目の後ろを通っている血管が拡張され、炎症が起こり、頭痛が引き起こされます。特に30歳前後の男性に多い症状で、群発頭痛が起こる頻度は慢性頭痛の1%程度です。 群発頭痛はある期間中、毎日のように集中して頭痛が起こり、目の奥がえぐられるよう痛んだり、刺すような痛みが数十分間、続きます。そのような発作的な頭痛の間に歯が痛むことがあります。群発頭痛で引き起こされる頭痛はかなり強い痛みがあるので、歯痛を併発していると歯痛から頭痛が起こったと勘違いしやすく、誤った治療が行われてしまうこともあります。
副鼻腔炎から引き起こされる歯痛もある
副鼻腔炎とは鼻の両隣にある副鼻腔に膿が溜まることで起こされる病気です。その症状としては鼻づまりや咳、発熱の他、頭痛や歯痛が起こることがあります。副鼻腔は上あごの歯に近い場所にあるため、副鼻腔で炎症が起こっていると歯の根の先や歯の神経が圧迫されるため、歯痛が起こることは珍しくありません。 副鼻腔炎によって引き起こされる歯の痛みは個人差があります。何もしなくても強い痛みが出ることもありますが、歯が浮いたような感じがするなど、人それぞれです。副鼻腔炎による歯の痛みは虫歯のように特定の歯が痛むのではなく、2~3本の歯に痛みが出たり、左右どちらかの歯が全体的に痛んだり、場合によっては上あごの奥歯全体が痛んだりします。鼻水や鼻づまりや咳が起こっている時に歯が痛むような場合は副鼻腔炎を疑い、内科や耳鼻科で副鼻腔炎の治療を行う必要があります。
歯痛と頭痛、どちらの痛みが先行するの
歯痛と頭痛は同時に起こることもありますが、どちらかが先に痛み始めるということがあります。 歯痛が先行するのは虫歯や親知らずなど口の中のトラブルがある時です。原因となる虫歯や歯のトラブルがはっきりしていて、それが悪化した場合は歯痛に続くように頭痛が引き起こされます。歯の治療を行い原因が取り除かれれば頭痛も起こらなくなります。 頭痛が先行して起こるのは主に群発頭痛が原因だと考えられます。群発頭痛から起こる歯の痛みは虫歯のように痛む歯を特定することができず、広範囲に歯痛が起こるので、歯科医に診せても原因が特定できず、治療ができません。歯痛をなくすには群発頭痛の治療や対処をしなければなりません。 頭痛と同時に歯が痛い時は何が原因で痛みが引き起こされているのかを探り、その原因を取り除くよう対処することが大切です。
まとめ
歯痛と頭痛はそれぞれの神経が近くにあるため、炎症が起こると影響を与えあいます。誤った治療をしないためにも何が原因かを突き止めることが大切です。