乳歯は小学校低学年から高学年にかけて徐々に生え変わっていきますが、稀に抜けずに残ってしまうことがあります。永久歯は後から生えてきてしまうので、口の成長の妨げになるのは確実です。早めに歯科医師と相談して、乳歯を抜くなどの適切な治療をしていく必要があるでしょう。症状により対処方法が異なるので、ここではそれらに対する対処方法を紹介していきます。
乳歯の根が溶けないために抜けない
乳歯は時期が来ると自然と抜け落ちて、その後永久歯が後から生えてくるのが一般的です。乳歯が抜ける際には、歯根が溶けて抜けやすくなりますが、この歯根が溶けずに残ってしまうことがあります。この状態のまま放置しておくと、永久歯が乳歯の前後から生えてきてしまうなど、その後の歯の成長に悪影響が出てきてしまうことが多いです。ある程度グラグラしてきている場合には、噛み応えのあるものを食べるなどして刺激を与えていくと抜けやすくなるでしょう。また、痛みがひどい、全く揺れない場合には歯科医師と相談して、状況により抜歯してもらうのがおすすめです。
隣り合う歯とくっついてしまっている ~癒合歯の場合~
乳歯は稀に隣り合う歯と癒合してしまう場合があり、うまく生え変わることができないケースがあります。この場合は一方の歯が生え変わる時期に差し掛かった段階で両方を抜歯してしまうのが良いでしょう。もう一方の歯については少し時間を置いて生えてきます。癒合歯がなぜ起こるのかについては諸説ありますが、乳歯の元となる細胞がくっついてしまうことにより起こるという説が有力です。抜歯治療後に生えてきた永久歯は、ほとんど同じような時期に生え揃うので、極端に生えてくる時期の差異が無い限りは、矯正などの治療は必要ないでしょう。
永久歯の位置がずれてしまっている
本来ならば、乳歯を押し上げていく位置に永久歯が出てきますが、何かの拍子で乳歯の前後から生えてきてしまうケースがあります。こうなると、乳歯が残ったままの状態になってしまい、歯並びが悪くなる原因にもなってしまいます。永久歯に押し上げられることによって、乳歯の歯根が溶けていくので、このままでは自然に抜けるのは困難な状況です。口腔環境を悪化させないためにも、このような状況になった場合は、早めに医師に相談した方が良いでしょう。
乳歯が歯茎にめり込んでしまっている
これは通常より乳歯が歯茎に埋もれてしまっている状態で、このままでは永久歯が自然と生えてくるのが難しくなってきます。通常、生え変わる段階で乳歯の歯根が溶かされますが、その段階で歯茎に沈んでいってしまうというのがこの現象です。このようになる原因については良く分かっていません。ですが、歯科医師と相談したうえで適切な時期を見計らって処置していく必要があります。矯正が効かない場合を除き、周りの歯や反対側の歯が永久歯に生え変わった段階で抜歯してしまうのが良いでしょう。
本来生えてくるべき永久歯が無い
乳歯の下には永久歯の元となる細胞がありますが、何かの拍子で乳歯の下に永久歯が無いということもあるようです。周りの永久歯を動かすなどして矯正が効く場合には、早めに抜歯をする必要がありますが、矯正が効かない場合には、乳歯を無理に抜くことはせずに、自然と抜けるまで使うというのが一般的になっています。乳歯は遅くとも20歳前後で全て抜けるといわれていますが、稀に50代でも乳歯が残っていたというケースもあるようです。矯正できない乳歯が抜けた後は、ブリッジやインプラントなどの治療をしていくことになります。
まとめ
こうした乳歯のトラブルに際しては、早めの処置が肝心になってきます。親御さんの細かなチェックと知識があれば、トラブルにもきちんと対処することができるでしょう。